MAGAZINE #006

客観性

2024.09.30

MAGAZINE#006

客観性

2024.09.30

#6のテーマは“客観性”。timelesz projectのオーディション番組もいよいよ始まり、審査する側として、客観性、客観視などのお考えを伺いたいと思います。客観性とは、特定の立場に囚われずに物事を見たり、考えたり……。
なるほど、確かにそうなりますね。主観性、客観性、僕の仕事にはどちらも大事なものです。基本的には自分の客観性には信頼を持っています。もちろん、それで驕るつもりはないですけど、社会人として必要な一定以上の客観性は持っているんじゃないかと思っています。ただ、人には得意、不得意があるから、そうである…自分をもちろん偉いとも思ってはいなくて。自分にはそういう特性があると信じているということになるのかな? グループがどう見えているのか、ライブの演出に関しても、その特性が活きていたらいいなと思いますね。グループで言うと、結成5、6年ぐらいかな。まとめていかないと、って思っていて。それまでは、わかってはいたけど、できていなかったです。
年齢や立場的にグループをまとめるべきだと思ってはいたけれど、できないでいた?
できていなかった自分はまだ、反抗期でしたね(笑)。グループみんなの足並みが揃ってきた段階で、自分もこのままじゃよくないなと思って。それでも今振り返れば、まだバラバラなところも一部ありましたけどね(笑)。
バラバラだと思われるところが、魅力な5人でもあったと思います。
会社の人からも、「バラバラな部分もあっていい」って言われてました(笑)。でもそれって、一概には言えなくて、時代によるものもありますよね。僕らには、バラバラもひとつの魅力であると言われていた時代もあった、ということです。
年齢も何もかもバラバラな5人でありながら、その5人が寄り添い合っているところを愛していたファンの方も多かったように感じます。
わかります。僕らにはいろいろなちぐはぐがありました。今になって考えれば、やり方は他にもあったなと思いますけど、当時の僕らにとっては、バラバラでいいという方向性が、やりやすくはありました。それぞれが好きなこと、やりたいことを頑張ってやっていいんだ、という。でもおっしゃる通り、まとまっている、寄り添っている5人を愛してくれるファンの方もいることを感じたのが、やっぱり結成5、6年あたりだったのかな。そう思えば、自分はグループをまとめる役目もすべきだなと感じることもありました。
グループがまとまり、寄り添うことの良さ、個のやりたいことを諦めない強さ、どちらも持ち合わせていたグループだからこそ、今、3方向に突き進んでらっしゃる。
実はSexy Zoneのみんな、サッパリしているんですよ(笑)。だから今、それぞれに好きなことをしている。勝利、聡ちゃん、僕は3人で好きなことができていて、さらに、より良い今後のために、仲間探しをしています。
皆さん、個の人格がしっかりしていたからこそ、それぞれの道を応援し、リスペクトし合えたんでしょうね。
僕は幼い頃、年上の友人に遊んでもらうことが多くて、小学生のとき、大人から「小学生は無邪気に遊べる唯一の時間だぞ」って言われて、それをちゃんと真に受けて(笑)。“これって今しかないんだ!”という考え方をその後もしてきたところがあるんですよね。
風磨さんは賢い方だから、幼い頃から大人の言う言葉を、その年齢なりに噛み砕くことができたんでしょうね。
賢い方だなんて…ありがとうございます(笑)。ただその部分はあるかもしれません。だから、大人の言うことなんて関係ない、僕らは僕らのやりたいことやっていくんだよ、ってアイドルに憧れていたのかも(笑)。そっちのほうがカッコいいんだって。わかってはいるけど……わかってはいるんだけどと反抗期があったのはそのせいかもしれないです。とにかく反発したい年頃がありました。仕事をしていれば、精神的にはまだ幼いながらに理不尽に思うこともありましたから(笑)。でも、わかってくれないと思っていた大人たちを悪い人だとも思わないし、感謝しています。ましてや反抗期の自分を肯定するつもりは微塵もないけど、あの時期、吐き出してよかった。でなければ、今の自分はなかったと思います。ただ、そんなことはファンの方には関係なくて、当時、心配かけてしまったのだろうな…ということを反省しています。申し訳なかったです。
結成5、6年というと、私の印象では2015年から始まったソロコンサートあたりから、壁をひとつ乗り越えた感が。
確かに、自分でもそのあたりで何か吹っ切れた、という印象ありますね! 個人も尊重してくれて、好きな音楽、好きな演出をやらせてもらえるんだ、と。そのときの感覚は、個人のファンクラブを設立する感覚に近いかもしれないです。僕がこの仕事をしていく上でとても意識しているのは、はじめましての人にしっかりとお届けすること。もちろん、それができるのは、僕らをステージに立たせてくれて、キラキラさせてくれて、歓声を浴びさせてくれるファンの方々あってこそ、とわかった上でね。
はじめましての人もいる、長年支えてくれるファンの人もいる…それは客観性の視点が必要になりそうですね。
だからこそ、ソロライブとか、個人のファンクラブは僕にとって主観性の場所です
そのままのエネルギーになり、そのエネルギーを糧に、皆様にも、グループへの力にも注ぎます。
どちらもとっても大事なものなんですね。
そう…両方とも大事だからこそ、しっかりと棲み分けしたいです。個人のファンクラブでは、菊池を好きって思ってくれている人に対して僕のやり方で、timeleszはtimeleszとしてのやり方で。そこからさらに一歩出た場所では、はじめましての方への気持ちを持って……そうだな、グループに対しても主観性はあるけれども、勝利、聡ちゃんのファンの方もいる場所であることは絶対に忘れたくないこと。みんなで楽しい場所にしたいから、勝利、聡ちゃんのファンの方はどう思っているのかな?っていう客観性も持っています。
だからこその“菊池風磨オフィシャルファンクラブ”の肩書きは大きい。
非常に大きいです(笑)。ここは菊池を好きな人だけいる場所ですよね? 甘えてもいいんだよね!?って(笑)。その感覚で学べることも多いにあって。グループに持ち帰って、“こういうのはどうかな?”と提案することが、最近増えたんです。会員の皆さんのおかげで勉強させてもらっています。甘えさせてもらってもいます。すごくかけがえのない空間です。
ここで愛と勇気と自信をいただいて、timeleszへ。
その通りです。僕のファンクラブ、やって本当によかったです。ありがとう。
唯一、客観性を忘れてもいい場所かもしれませんね。新しい仲間が増えれば、また新しい客観性が必要になるのかもしれないですし。
そうなったら、ここで存分に甘えさせてもらいます(笑)。……ここで甘えさせてくれ。
こんなこと、他では絶対に言えない(笑)。でも本当に癒されています。ありがとう。
インタビュー・文=堀江純子

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